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午前5時。

祖父がこの世を去った。
これで僕には祖父と呼べる人が1人もいなくなった。
たくさん語りたいことがあるようで
このまま自分の胸にしまっておきたい気もする。
ただ言えるのは、祖父にはたくさんの事を
教えてもらったしたくさんのものをもらった。
それをオレは忘れない。

じいちゃん、ありがとう。
そして今までご苦労様、ゆっくり休んでくれ。

久しぶりの更新だ。特に何かあったということもなく
いつもと同じような感じの毎日で。
違うのは頭がこんがらかっているということ。
その所為か生活リズムも大幅に狂ってしまって
何も手につかないという有様............。

日曜の夜から朝方に就寝し、仕事から帰宅後就寝。
そして深夜の日付が変わる前後に目が覚める。
そのまま朝まで起きて出社というなんとも中途半端な生活で。
これが1週間も続いた。

仕事中いつものように振舞っていたけれど、どこか上の空で
違うことを考えていた。僕は落ち着ける場所を探している。
ここ最近はずっとそうかも。そんな場所なんて
もしかしたらないのかもしれないと思う。
探し続けることが生きることと同義だとしたら
上を見ることを忘れてしまったらもう、
飛ぶことはできなくなるから。

何を言いたいかというと要は、生きるのは大変だって事。
死んでるように生きてりゃ話は別だけど。
だって考えたことがあるかい?
何の為に生まれてきたのか、とか何ができるのか?なんてさ。
小さいころは偉人や偉業を成した人たちを見ても
年上だからとか、別次元なんだとか思ってた。
でも実際同じ年齢や近い世代で世界に波紋を広げているヤツらが
確実にいる。ならオレにも何かあるはず。
たいした夢想家だと思うだろ?
でもオレはまだ自分の可能性を捨てきれていないんだ。

『人間五十年、下天のうちをくらぶれば夢幻の如くなり。
一度生をうけ滅せぬ者のあるべきか 死のふは一定、
しのび草には何をしよぞ、一定かたりをこすよの。』

そう、過ぎる今が過去となるならばオレは全ての事象を
見て、聴いて、体験したい。
ほら、こうしている間にもオレ達の知らないところで
何かが起きている。
誰かが笑い、誰かが泣いて。
誰かが奪い、誰かが失って。
見ないフリ、知らないフリはもうたくさんだ。

今夜もいつものように駅のホームで電車を待っていた。
午後8時を過ぎると、ホームいる人もまばらになり、
雨が降っていて服にはところどころ染みが出来ている。
疲れた顔立ちでそこに立っている会社員ってのが
今の僕を表すのに最も相応しい言葉だろう。

上司とうまくいっていない所為か会社の人間関係の事で
少し苛立っていたので次の電車が来るまでの5分間も長く感じている。
時計を気にしながら、頭の中では上司とのやり取りが
床屋の看板のようにグルグルと堂々巡りを繰り返している。

やがて構内のアナウンスと共にホームに電車が滑り込んできた。
流れていく車中を見ながら『ツイてないな』とつぶやく。
今の時間帯は会社帰りに一杯ひっかけたサラリーマンで
ごったかえしているからだ。
そしてこの駅では誰も降りないのでますます車内の人間が
増えることになった。からだを押し込むようにして
ようやく車内に乗り込む。
ここには香水や食べ物、アルコールなどありとあらゆる臭いが
立ち込めていて深呼吸するには相当の覚悟が必要だ。
酸素ボンベがあれば誰もが手に取るだろう。
自然と眉間に皺がより、ヘッドホンのボリュームを上げる。
こうやって自分の世界に入らないと窒息してしまいそうになるからだ。
電車が揺れるたびに体と体がぶつかり、鞄の金具や
ベルトのバックルが容赦なく体を痛めつける。
時間よ早く過ぎてくれと思いながら意識を
ヘッドホンから流れる音楽に集中させる。

そうして2駅を過ぎ、3駅目が停車したときだった。
乗り換えの駅なのでたくさんの人が乗り降りを行うため、
扉側に立っていた僕は1度電車を降りてやり過ごす。
再び乗り込むと、奥の方からゆっくりとこちらの出口へ向かう
人が見えた。さっき人が降りたぶん車内は少しだが余裕が
あったのでそのまま避けようとした時だった。
出口へ向かって歩いているその人は手に白い杖を持っていた。
周りを確かめるように手を広げゆっくりとした足取りで
こちらへ向かってくる。僕は出来るだけ邪魔にならないように
身を縮めて出口へ視線を送った。周囲の人もその動きを
察知したようで出口付近を空けて待っている。

しかし彼は降りる寸前で何かを探すように立ち止まっていた。
後から考えればただ一言『降りますか?』と
聞けばよかったのだが不慣れなせいか、それとも関心がないのか
周囲の人間はこのとき彼が何を求めているのか理解することが
出来ずに彼の次の行動を待った。降りるのか降りれないのか。
すると出口の扉のすぐ横で本を読んでいた男性が
事態に気づき、すっと彼の手を取って側にある手すりへと
誘致したのだ。まるで彼の気持ちがわかっていたかのように。
男性の何気ない行動に僕は深い衝撃を受けた。

彼は探していたものを見つけ、電車は出発した。
ヘッドフォンから流れている音楽はいつの間にか
聴こえなくなっていた。
何故僕には彼が何を探していたのか理解できなかったのだろう。
そればかり考えていた。しかし、ない頭をどうひねっても
答えは出そうにない。その男性に答えを求めようか迷っていたが
ふと思った。もし僕に答えがわかっていたとしても、あの場面で
彼に手を差し伸べることが出来たのだろうか。

目をつぶったまま歩いたことがある人はわかるだろうが、
真っ暗の状態で歩くということはとても勇気がいるのだ。
たとえ普段歩いている道や、自分の部屋でさえも
見えないというだけでとてつもない不安が襲ってくる。
たぶんみんな手を広げて周りを確かめながらゆっくりと動くだろう。
もし捕まるものがなかったり、触れることが出来る壁が
周りになかったら君はその状態で何がほしい?
誰でもいい、差し伸べる手があれば安心できるだろう?
そこに人がいる。『気をつけて』と声を掛けられれば
何も分からない世界に危険という認識が出来る。

そう、おそらく彼が求めていたのは出口でもなく、
手すりでもなく、そこにある 人の手 だったんじゃないかと
僕は思う。
生活していく中で人にはそれぞれ得意不得意があり、
皆、欠けたる月なのだ。それをまろかなる月にするには
お互い補完しあわなければならない。そうして人はようやく
完全に近づくことが出来る。
仕事ではそれを嫌というほど実感していたはずなのだが
いざという時にはまったく行動できていなかった。

電車はどんどん進んでいき、僕が住んでいる駅へと着き
彼もその男性も僕と同じ駅で降りていった。
いつの間にか雨も止み、僕の苛立ちもどこかへ消えて
清清しい気持ちになっていた。
空に浮かんでいるのは欠けた三日月。
僕もああいう風に当たり前のことを当たり前にできるように
なりたい。上司のつまらない意地にかまっているより
人として素晴らしくありたい。
何だか今夜の空気は冷たくて心地がいい。
『君ノ声/中村一義』を聴きながら僕は家路へと歩いていった。

荒れ果てたその先はまた分かれ道だ。
時間は後ろから追いかけてきて
いつもオレを焦らせる。

いったい何をやってんだ!?
ユメは漠然としてあるだけ。
限りある時間を無駄に過ごしては無意味に感じている。
この矛盾がわかるか?
有意義を求めて浪費していくだけ。
オレだってその中の1人だ。
光の中にいるのに眩しくてメクラになっている。
出会いや別れなんてこの日常では当たり前のこと。
でも、それだけが全てではない。

合理的にやってんだってお前は言う。
アレがダメで、これもダメ。
白黒つけなくたって灰色はそこにある。
不完全があって完全もいれるんだ。
大事なものは手に乗せるだけ。
欲張ったっていいだろ?
オレは見ていきたいんだ、その先を。

だったらもうわかんだろ?
お前の考えてるモンなんてないんだ。
幻なんだよ、気づいて。
そして足元見ながら踏み出せ。
知らないことが悪いことではない。
きっと気づける時がくる。
そしたら目を背けんな。
しっかり見据えて、行け。
どんな困難も幸せもお前のもの。
全てを感じろ。それがお前の糧となる。
答えはきっとそこから始まる。

昨日の続きだけれど、これから自分の行くべき道が分からない。
人は千変万化、言うことも時が過ぎるにつれて変わってくる。
そう、やはり判断は己が下すべきであるし、それでこそ意義が
あると思う。

はじめに言わせてもらうと今の僕はかなり酔っている。
今しがたウイスキーを1本開けてしまっているからだ。
でも、ここに綴ることに一遍の嘘偽りがないことは
保障させてもらいたいと思います。

昨日の記事で書いたように、僕は悩んでいる。
それについてコメントや助けを求めようとは思わないし、
気持ちを共有してもらいたいわけでもない。
ここに書いていることは決意であり、
僕の意思であるということ。

独りで歩んできたつもりでも、
気が付けばたくさんの人に支えられてきた。
今、オレの目の前に広がる選択肢も
そこから繋がってきている。
年齢を言い訳にしたくはないが、
博打が打てるのも残りわずか。
なら、掛けてみるのも悪くない。
今までだってそうしてやってきたんだから。
少しばかりの安息につかり、オレはいつの間にか
前に出ることを忘れていたらしい。

Making the road.

そう、道は通った後にできるもの。
なら、荒野を行く俺たちのブルースは続いていくんだ。




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